じんぎ:なまえぼしゅう いくつもの神気を帯びたぶきぐん
ふれんず:あらいぐま
しょうごう:牡丹黒渦紋(ぼたんにくろうず)
ぞくせい:
かがやき:怒りの赤色の剣
とくちょう:胸には鼓動する闇が埋め込まれている。血の海に浮いた黒い日輪の足場。
浮かぶ武器。
じんぎ:なまえぼしゅう いくつもの神気を帯びたぶきぐん
陽の者とは思えぬ悪行を働いた元大罪人。己が正義に基づき行動を起こした為、旧陽国で大問題に発展する。
人々の救済を願っており、独自の死生観により人間の救済を目論む。
荒くれ者の様な一方で花や風景など、情緒的なものなどが好きで、暇なときは小鳥と空を見たりしている。彼が何を想っているのかは誰も知らない。
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らーふ ごえいか
くらふは にくつき
のまふは さかつき
かけつけ やつはい
かたなに よいたる
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シン王に敗れ、胸に巨大な大穴が開いている。瀕死の状態の時にシン王からの輸血により生きながらえる。
本人談で物心ついた時から武具の扱いを心得ており特に誰かに教えを乞うた事もないと言う。
芸術や美術などを好んでおり、全ての事象には意味や美しさがあるという。
目が非常に良く、常に遠くまで見通せる。しかし本人は銃の扱いが不得意な為、狙撃などはできない。刃物の投擲は出来るらしい。
酒を好んで飲むがどんどんまともな剣術が使えなくなり野生的な戦闘になる。
シン王曰く一番深酒をした時の羅睺とは「二度と闘いたくない」という感想を持たれている。
わざ:八津咲き
所持している刀剣を次々に扱い相手を攻める体術・剣術
持っている武具に応じてリーチが変化したり威力が変化したりするので対応が難しい。
わざ:修羅纏
己の血を武具に纏わせて武具の性能を強化する技。
当然だが使用しすぎると倒れてしまうので多用は禁物。
わざ:百景
高速移動による分身技。実際には分身しているわけではなく、歩法による残像で分身しているように見えるだけであり全方位からの攻撃などが出来るわけではない。
しかしながら相手の目を欺くことが可能なので体術を極めていたり、眼力を鍛えていないものでは姿を追うことは困難である。
わざ:八剣飛び
地面に八本の剣を投擲しその上を渡る事で対象に肉薄する技。
地形の変化に適応できる技。
シン王との戦闘中に編み出した奥義。
本人は特に思い入れは無いが、シン王はこの技を気に入っているという。
わざ:創造千手
シン王との血の混ざりにより顕現した四天乃固有の力の一つ。
五感で感じ取れるものを生命以外再現することが可能な能力。
事象であっても再現可能な為不確定要素のトライ&エラーが可能。
ただし事象の再現に関しては運命の投影ではない為、必ずしもその通りになるとは限らない。
わざ:呪詛返し
羅睺には陽の加護が強く焼き付いている為、殆ど全ての呪詛の類を反射する。
当然デメリットもあり、闇の陣営が使う「闇」に対する回復・強化すら反射してしまう。
わざ:零
胸に開いた穴に星砂の秘めるエネルギーを収束させ放つ技。絶大な破壊力を有し、羅睺唯一の遠距離攻撃だが、使用制限があり、一日に一発しか発動不可。
わざ:酔剣 二合
酒を浴びた時にのみ使える剣術。
太刀筋がブレる為、攻撃を読むのが困難になる。
わざ:酔剣 五合
かなりの深酒をした時にのみ使える剣術。
完全に脱力した剣術になり、歩法もめちゃくちゃになるが、体術が向上し、ありとあらゆる体術と剣術を複合して戦う。
わざ:酔剣 十樽
完璧な酩酊状態にのみつかえる剣術。
完全に羅睺の意思で動いている様子は消え、完璧な動物のようになる。
剣術すらままならなくなるので、バグナウの様な「なんらかの生物の爪」のような刃物を用いて戦闘する。その速度は異常でシン王ですら体術では対応できなくなる動きになる。
五分暴れ尽くすと強制的に休眠状態になり、戦闘が不能になる。
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羅睺、旧四天乃について、陽王の手記
以前に記した手記に、四天乃はそれぞれ「余の持ちえぬ力」をそれぞれ持っており、羅睺の能力が再現能力。視たり、聴いたり、触れた物を生物以外、事象であろうとも再現出来る。此の話には続きがあると書いた筈だ。
あれは余の血と奴の血が混ざり変容した命の副産物。奴は一度死の縁を彷徨い、戻ってきた。今回はその続きの話をここに記そうと思う。
羅睺、奴は無論、陽の存在でありながら前代未聞の大罪人であった。罪状は殺戮罪。砂漠を放浪し、目に入った生物を悉く屠る。それはフレンズも例外ではなかった。街の者が狩りに外に出た時の事、帰りが余りにも遅い夫を心配に思った家内が砂漠の方へ安否を確認しに行くと串刺しにされ息絶えた家族の姿が在った。
妻は余りの凄惨さに泣き崩れた、一頻り泣き終わると違和感に気がついた。死体の周りに独特の装飾があった。花や石、木材に砂、凡てを使い死体が装飾されていたのだ。それは宛ら葬送の様でもあり、一つの「作品」の様な姿でもあった。
此の惨状は一つに収まらなかった。流石に看過できぬ事態且つ事態の規模が人の手に余る状況故、余が直々に夜の砂漠に護衛を引き連れて赴くことになった。途中の岩場で休憩を取っていた所、護衛に声を掛けたが返答が無くなっていた。嫌な予感がしたので直ぐに確認すると護衛二人は既に首を跳ねられ事切れていた。
背筋を氷で撫でつけられる様な感覚に襲われ咄嗟に首元への一撃を防ぐ。
殺意だ。殺意のある一撃であった。迷わず首を狙われた。気づくのが数秒遅れていたら余とは言えど無事では済まなかったであろう。
先に口を開いたのは襲撃者であった。感情が読み取れないどこか退屈そうで気怠げな声で続ける。
「へえ、なかなかやるな。一撃で死ななかったのは初めてだ」
異様な出立であった、背中に三本、腰に小刀合わせて四本、両腕には二本の金色の獲物。顔には特徴的な痣。凛々しい顔立ちをしているが眼の光は一切無い。
「何故、生者を殺める。心が無いのか」
襲撃者は不可思議な顔をして突然笑い始める。無表情だった顔が嘘の様に色を帯び始める。
「心が無い?笑わせるな、此れは救済だ。心が在るからこそなのだ。殺める事で魂を解放して永遠の命を与えているのに過ぎん。人に死という概念を与える事で人は概念になり永遠になる。生という鎖を取り除く事で魂は昇華され、救済の道へと向かうのだ」
問答を続ける
「貴様、何かに巣食われているな、化生の類か、いや、伝承に伝わる鬼そのものか」
「そんな事はどうだって良い、俺は救いたいだけだ。全ての人類を。その為には手段として諍いが起こるだけだ。君も直ぐに救ってあげよう、なるべく痛くはしない」
羅睺と名乗るその男は手元に在った剣を片手で二本、もう片方には腰に在った小刀を数本握り込む。その姿を喩えるなら異様に爪の長い虎とでも言ふべきか。
蔑視の眼を向け言葉を返す
「狂人が、貴様にくれてやる慈悲などない。構えるが良い、直ぐに終わらせてやる」
言い終わると同時に羅睺はおおよそ人の速度とは思えない竣敏さで余に詰め寄る。
刹那の間に二十尺は有る距離を詰める速度。敵ながら見事だ。いや、人の妙技には留まらない。本当に人なのか?
首元に獲物が触れる直前、羅睺は余を踏み台にし後ろへ跳ね返り跳躍をする。
直後、羅睺の影が在った場所に火柱が上がる。
「人とは思えぬ反射神経、まるで獣だな。戦の獣。貴様の名、羅睺と言ったか、覚えたぞ。阿修羅の名を冠せし人の子よ」
羅睺も先程までの余裕の表情は既に消えている
「お前、何者だ??お前こそ人ではないな」
「余の名は陽の国の王、シン王。神々が此の地に初めて産み落とした原始の嫡子。この世で唯一半人半神の崇高なる存在よ」
顔色を変えず羅睺が返す「理解した、俺は幸せ者だ。今日はそんな一際特別な者を救済出来るのだから」
「ほざけ」
剣戟が繰り広げられる、此処までの剣戟を繰り広げられる人はそうは居ない。居たとて精々乱牙くらいのものだろう。ただ乱牙の剣には殺意がない、此処まで殺意の華麗な剣戟を受けるのは初めての事であった。
「埒が明かぬな」
「その程度なのか?神の嫡子。興醒めだ」
直後余の携えていた宝剣が弾き上げられる、見事な巻き上げだ。とっさに後ろに下がるが頬を剣で切り裂かれ血が滴り落ちる。
「流石に分が悪い、か。黝雪を置いてきたのが悪手だったようだな」
「もう十分だ神の嫡子、お前は俺より弱い。今一思いに救ってやる」
羅睺が一直線に余に向けて走る。宛ら稲妻の様に。
「良かろう羅睺よ、貴様を認めよう。余を興じさせた礼だ。手向として受け取れ」
"ルヴァ・サムンダラ"
異変に気づき羅睺は高く跳躍する。直後羅睺の立っていた地面が溶岩の海になる。落ちれば即座に身を焼かれ死に至る。羅睺は身体を回転させながら剣を手に握る一本以外全て溶岩に投擲し、溶解した大地に突き立てる。剣は瞬間から溶けていくが、全てが溶け切るまでの時間、僅かだが時間があった。その剣に羅睺は着地し、剣の柄を足場に余の喉元に鬼が迫る。
その姿は宛ら伝承に伝わる彼の男が行ったと言われる"八艘飛び"そのものであった。"八剣飛び"其れが鬼の繰り出した最期の奥義であった。
「見事」
眼前に迫った羅睺の胸元にそっと人差し指を触れる。刹那、羅睺の胸元を火柱が貫く。
魔術による砂漠の溶岩は既に元に戻った。地面に転がり落ち吐血する羅睺。羅睺は瀕死の身体で言葉を発する。
「届かなかった、救えなかった。俺は此処で終わるのか?使命があるんだ、誰にも出来ない、俺だけの……こんな所で終わりたくない。こんな所で……」
「生を望むか、大罪人よ。何を捨てたとしても人の救済を望むか」
羅睺は答える「それが……俺の使命なのだ……使命を全う出来るのであれば……悪魔に魂を売り渡しても……いい……」
余は再び投げ掛ける「如何なる艱難辛苦であろうと貴様はそれを望むのだな」
羅睺は答える「くどい……俺に出来る事はこれくらいしか無かった……」
余は想いに答える「良かろう、戯れだ。貴様に挽回の機会をくれてやる。その力で、今とは別の方法で人を救って見せるが良い。死ぬかもしれないが、生きているのであれば己が使命を全うして見せるが良い。阿修羅の子よ」
羅睺が目を覚ます。自分の状況がまるで理解できていない様子で此方を見上げる
「目覚めた様だな、阿修羅の子よ」
「……どういうつもりだ?」
直ぐに獣の様な目付きになりこちらを睨み返す。
「そう憤るな、貴様の意識が途絶える前に言ったはずだ。挽回の機会をくれてやるとな」
「何を馬鹿な、確かに俺は致命傷を……」
羅睺が己の身体の異変に気付く。胸に焼け焦げた大穴が空いている。それは明らかに死人の身体だったが、羅睺の意識は明瞭であり、現実なのは疑いようがない事実であるようだった。
「余の血を分け与えてやった、およそ人の身には余るものだが、貴様の肉体がそれに耐えた。四日は昏睡していたが晴れてお前は一命を取り止めたということだ」
胸の傷を複雑な表情で撫でる羅睺が問いかける。
「……救ったというのか、貴様の命を狙う者を」
「余にとってはそのような事は些事でしかない。それがシン王たる余の器だ。王たるものその程度の事で揺らがぬ。人の為に余は在るのだ」
羅睺は暫く何かを考えこみ、口を開く。
「俺は、俺はこれからも俺のやり方で人を救済する。今はお前に従ってやろう。だが、だがいつの日かお前の喉笛を噛みちぎってやる。そうでなくては気が済まん。最期に哀れなお前を俺の手で救ってやる」
吠える鬼の砂漠で死んでいた眼は最早消えており、その眼には日輪のような輝きが灯っていた。
「良かろう、余はその日が来ることを待とう人の子よ。それまで精々腕に磨きを掛けておく事だ」
シン王は曇りのない空を見る。それは鬼の瞳に良く似ている日輪が爛々と輝いており、此方を見つめているようだった。
軽くその空に向けて微笑み言葉を溢す。
暫く退屈はしなさそうだな。